喘息の治療は、気道(気管、気管支)の好酸球性炎症をどうおさえていくかがたいへん重要です。

⇒ステロイド剤を吸いこんで治療すると、全身への影響がほとんどなく、安全に使用できます。

⇒吸入ステロイド剤は、成長期の小児や妊娠中の方、授乳中の方にも保険診療が認められています。

⇒局所療法のため安全性が高いということですが、1つ注意すべき点があります。それは、上手に深く吸い込まないと効果にバラツキがでるということです。

⇒吸入ステロイド剤は、微粒子のドライパウダータイプと霧状のエアゾルタイプがあります。エアゾルタイプは、吸い方が難しく、吸入補助具(スぺ―サー)にためて吸う方法が推奨されていますが、無料の吸入補助具(スぺ―サー)の供給が終了し、吸入補助具(スぺ―サー)が必要な場合は、有料の吸入補助具(スぺ―サー)の購入が必要になりました。

⇒当科では、吸入補助具(スぺ―サー)の供給停止が決まりました時点で、吸入補助具(スぺ―サー)を用いないエアゾルタイプの吸入剤をどのようにすると効率よく吸入できるかを模索してきました。

⇒当クリニックでは、口の中の空間(スペース)を吸入補助具(スぺ―サー)と考えて、口の中にためた薬剤を30秒以上吸う方法を現在推奨しています。

⇒吸入剤では、吸入したあとの息止めが5秒以上と時間表示されていますが、これまで、吸入時間については、明記されていません。

⇒当クリニックでは、吸入時間を秒単位で測定することで、気道の開き具合いが推測でき、調子がよい時の最長吸入時間(ベスト吸入時間)を知っておくことで、吸入剤の再開、増量、減量の目安にしていくと効率よい吸入療法ができると考えております。

⇒大阪での勉強会で、エアゾルタイプのステロイド吸入剤を吸入補助具(スぺ―サー)を用いても用いなくても、効果が変わらないという成績が報告されました。

⇒当クリニックでは、吸入補助具(スぺ―サー)を原則として用いない方法をこれまで取り組んできましたが、その方針が間違っていなかったことを確信いたしました。

⇒今後もより効率のよい吸入療法のあり方を検討していきたいと思います。